追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

誰の口真似か……そういうフローラも母親を独占しようとしがみついて、なかなかの甘えん坊だ。

「恐れながら聖女モニカ様」

声をかけてきたのは濃紺のローブを纏った四十代の男性で、ロストブの改革時に新しく導師に就任した者だ。

彼は火の精霊憑きで、精霊憑きの子供たちの気持ちがわかるだろうという理由で選ばれた。

修練所が廃止されている今は、精霊憑きの子供たちは親元で暮らしている。

聖職者の役目は、魔力は人助けをするためにあると礼拝時に教えを授けるくらいだ。

ロストブは確実に変化し、モニカは帰郷のたびに人々の幸せそうな笑顔に触れて嬉しく思っていた。

「日差しが厳しくなる前に済まされた方がよろしいかと存じます」

導師の進言にモニカは頷いた。

ロストブには冬がなく、太陽が南中する時間はとてもじゃないが暑くて屋外で過ごせない。

「ふたりとも、お祈りしに行くわよ」

従者たちには聖堂内で休んでいるように言い、モニカは子供たちと三人だけで裏手の外祭壇に向かった。

「なんにもないね」

「うん。石しかない」