追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

クリストフが差し出した右手の甲には確かに傷があるが、それは昨日いばらにかすった際にできたものでもう半分治っている。

痛みもないはずなのに泣きそうな顔をしてみせるのは、モニカに心配してほしいからだろう。

(将来のために甘やかすなって言われてるけど、まだ五歳だし……)

「痛いの痛いの飛んでいけー」

小さな手を撫でてそう唱えると、そばにいた双子の世話係の女官が不思議そうな顔をした。

「聖女モニカ様、バーヘリダムではそのように子供をあやすのですか?」

モニカは普段はバーヘリダムで暮らしている。

式典や教会の催事で要請があった時のみ、聖女として故郷に戻ってくる。

ロストブが改革されるより早く大災厄が起きてしまったが、約束は守られて王権政治は廃止され議会が設置された。

その議会が満場一致で、モニカがバーヘリダムで暮らすことを許してくれたのだ。

聖女モニカに深く感謝しているからこそ、希望を聞いてくれたのだろう。

今回の帰郷は昨日から一泊の予定で、世話係の女官はロストブの者だ。

「いいえ、これは日本流よ」

「日本?」