追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

しかしながら竜巻はまだここから百キロほども離れている。

それなのにまるですぐそこに迫っているかのように巨大に見えた。

天まで伸びた太い砂の柱が暴れ狂うさまはまさに悪魔のごとく、あれに巻き込まれたらひとたまりもない。

近くを通過しただけで町は破壊されて砂に埋もれてしまうことだろう。

聖堂の裏手には石を敷いただけの古びた外祭壇があり、モニカとシュナイザーはそこに立った。

(歴代の聖女たちの思いが私の中に流れ込んでくるようだわ)

モニカは自分も聖女なのだと自覚した。

もちろん覚醒した時から理解していたが、今は頭で考えるのではなく心と肌で感じるのだ。

自分の背後には何百万の命があり、守らねばならないのではなく守りたいという信念にかられてロッドを出現させた。

それを天に掲げるとたちまち雨雲を呼び寄せて雷鳴がとどろき、大災厄の上だけに激しい雨が降る。

竜巻は怯んだように一瞬渦をゆるめたが、すぐに威力を取り戻して一層激しく暴れるのが見えた。

ならばとモニカはさらに魔力を高め、文字通り滝のような雨を降らせる。

豪雨の砂を打つ音が、ここまで響いて聞こえた。