追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

ベルナールが崩れ落ちるように片膝をつき、シュナイザーがその肩に手を置いた。

「ありがとう。行ってくる」

「必ず、戻って来いよ……」

絞り出すようなベルナールの懇願には答えず、シュナイザーは振り向いてモニカを呼んだ。

ハッとして駆け寄ったら、ハンスが乗った翼竜が目の前に舞い降りた。

翼竜の背から真顔でじっと見つめるハンスにシュナイザーが顔をしかめる。

「お前も俺を止めるのか?」

「止めないよ。俺は信じてる。君たちふたりが揃って戻ることを」

「ありがとう」

ハンスが下りてシュナイザーが乗り、モニカを引っ張り上げてくれる。

ハンスに借りたマントにふたりで包まるようにして、冬空に飛び立った。

暖かな季節に竜で飛んだ時は歓声を上げて無邪気に喜んだのに、今のモニカは無言で体を震わせている。

それはモニカの背を抱きしめるシュナイザーに伝わり「寒いか?」と心配されたが、モニカは首を横に振った。

「怖いのか?」と聞かれても否定する。

「覚悟はあってもさっきまでは怖かったわ。でも今は嬉しい」

「は?」

「シュナイザーと一緒にいられるのが震えるほど嬉しいのよ」