追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

炎の壁は勢いを増し、たちまち足元の雪が解けて辺りは夏のように暑くなる。

背後に貴族の悲鳴が上がり、モニカはおろおろしてシュナイザーの陰から出ようとした。

(ベルナールさんはシュナイザーを行かせたくないのよね。私だけなら通してくれるわよね?)

しかしシュナイザーに動くなと命じられる。

「お前はここで待ってろ」

ベルナールと戦うつもりかと肝を冷やしたが、シュナイザーは魔力を使わずまっすぐに進むのみ。

「止まれ。燃やされたいのか!」

炎越しにチラチラと見えるベルナールは焦り顔をしていた。

まさか戦意を持たず、丸腰で向かってくるとは思わなかったのだろう。

「なあベルナール。俺たちはガキの頃いつも一緒だったな。苦しい環境下でも笑うことができたのはお前がいてくれたからだ」

シュナイザーは修練所での思い出を語る。

聖職者の理不尽な怒りを買って食事を抜かれた時、腹は空かないと三日間もやせ我慢を続けたシュナイザーにベルナールは『先生たちに謝ってこい』と言ったそうだ。

『謝罪は負けじゃない。いつかリベンジしてやろう。だから今は悔しくても謝れ。こんなくそみたいなところでくたばるな』