追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「陛下はお戻りを。翼竜を用意するよう命じました。ゾフラム騎竜兵隊長がモニカ様をロストブまでお送りいたします」

いつもは柔和な雰囲気で、時にからかい仲のよさそうだったふたりが今、五メートルの距離を取って睨み合っている。

険しい面持ちのシュナイザーがモニカを背に隠した。

「昨夜、話しただろう。俺はモニカと行く。万が一帰還しなければお前に国を頼む」

「承知した覚えはございません。この国を守るのも陛下の使命のはず。どうしても行くとおっしゃるのなら私を倒してお進みください」

ベルナールが揃えた二本の指を顔の前で横に振った。

するとふたりの間に炎の壁が現れた。

燃料もないのにメラメラと宙を燃やすその強大な魔力に、モニカとシュナイザーは驚く。

(私が知っている火の精霊憑きの子は、暖炉に火を入れるのが精一杯だったわ。どうなっているの?)

「お前も覚醒したのか」

シュナイザーの問いにベルナールが不敵に笑った。

「私の使命感に火の精霊が応えてくれたのですよ、陛下」

「使命」

「ええ。その使命とは……犬死にしようとしている馬鹿野郎を止めることだ!」