ふたりの女官は気を回してそっと退室したが、ベルナールとハンスが入り口横の壁に背を預けてニヤニヤと見ている。

「モニカはウブで可愛いな。シュナイザーがいなければ俺が口説いたのに」

「嘘ばかり。ベルナールは年上が好みだろ。未亡人ならまだいいけど旦那がいる夫人に手を出すな」

「人聞き悪いことを言うなよ。例の子爵夫人には俺が騙されたんだ。離婚したという嘘が手を出す前にわかってよかった。可愛いメイドさんたちと戯れているのが一番安全でいいな」

「それもどうかと思う。ベルナールはそこの純愛真っ最中のふたりをよく見て心を洗いなよ」

(は、恥ずかしい……)

シュナイザーに濃いスキンシップを取られてモニカが焦ったり照れたりしていると、ノックの音がした。

顔を覗かせたのは式の準備役の責任者で、なかなか戻らない新郎を連れ戻しに来たようだ。

「お式のお時間が迫っております。陛下はお戻りくださいませ」

いちゃついていたところを邪魔されて舌打ちしたシュナイザーを皆が笑った。

モニカも笑みを浮かべているが、心には薄いベールのような寂しさがかかる。