それは公務であり、一度だけでいいと言われていたのだが、その後も婚約者としての立場ではなく個人的に何度も足を運び、子供たちと一緒に街の美化活動に参加したりバザーの準備をしたり交流を重ねた。

修練所の子供たちと重なって見え、なにかしてあげたいと思ったからだ。

粘土細工はお世辞にも上手とは言えない代物であったが、モニカは宝石よりも喜んだ。

「なにより素敵なお祝いの贈り物だわ。なっちゃん、お部屋に飾るからこれを他のものとは別にしておいて」

「かしこまりました」

ナターシャに箱を預けたモニカをシュナイザーが目を細めて見ている。

フッと笑った彼は立ち上がるとモニカのそばに来て、顎先に指をかけた。

キスされそうな顔の距離にモニカは焦り、シュナイザーの胸を押した。

「今は駄目よ」

ここにはナターシャも女官もいるし、ベルナールとハンスもひと言お祝いを伝えにと入ってきてから退室していない。

人目を気にしたモニカだが、抵抗むなしく簡単に唇を奪われた。

「もうっ」

真っ赤になって恥ずかしがるモニカに、シュナイザーが満足げに口の端を上げる。