追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

落ちくぼんだ瞳に小さな希望の光が灯るのを見届け、シュナイザーは孤島の監獄を後にしたのだ――。


「確たる証拠をそろえるのにもう少し時間がいるな。叔父には悪いがやり直し裁判は三か月後にするか」

その独り言に、ソファに身を起こしたベルナールが答える。

「なるべく開廷準備を急ぐよ」

「悪い、起こしてしまったな。体は大丈夫か?」

「お互い様だろ。それにのんきに寝てたらハンスに悪い」

噂をすれば影で、ノックの後にハンスが入ってきた。

「おいおい」

シュナイザーが呆気にとられたのは、頭に包帯を巻き左腕を三角巾で吊っていたからだ。

そんな痛々しい状態でハンスが明るく笑った。

「実にいきのいい獲物でちょっとだけ手こずった」

「ちょっとには見えないよ」

ベルナールの指摘に三人の笑い声が重なったがすぐに真顔になり、暖炉前のソファでハンスの報告を聞いた。

「構成員は取り逃しなく捕縛した。早速尋問中だ」

ハンス率いる騎竜兵隊は皇帝命令で“セズノ一家”という悪党集団を捕らえに行っていた。

一週間前にシュナイザーを奇襲したあの空賊の一味である。