追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

シュナイザーの養父とブロスペルは仲のいい兄弟ではなく、交流はほぼない。

シュナイザーとは会ったこともなく、甥が帝位に就いても要職に取り立ててもらえると期待しないだろう。

裁判記録を読む限りブロスペルの動機はあいまいで、心を患い妄想に取りつかれたことが主たる原因とされていた。

北東にある孤島の監獄に収容されて今もそこにおり、生涯出ることは叶わない。

ゴウランガ公爵を失脚させてからというもの、もしやという疑惑が膨らみ、シュナイザーは数日前にブロスペルに会いに行ったのだ。

再調査報告書に目を通しつつ、シュナイザーはその時のことを振り返る――。


冷たい石壁の牢にあるのは粗末なベッドと用を足すための木桶のみ。

初めて会った叔父は憔悴してやせ細り、ベッドに身を起こして会話するのがやっとであった。

哀れに思ったシュナイザーは、まともな食事を与えるよう看守に命令してからふたりきりで話を聞いた。

なにか弁明はないかと尋ねても首を横に振って答えないブロスペルに、シュナイザーは誰かをかばっているように感じた。

その見当もついており、こう切り出した。

「ゴウランガ公爵が失脚したぞ」