追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

冬の朝六時はまだ暗く、鳥のさえずりさえ聞こえない。

シュナイザーは昨夜から睡眠をとらずに執務机に向かっていた。

徹夜だったのはベルナールも同じで、先ほど膨大な量の報告書を携えここに来た。

疲れた体をソファに沈めたベルナールは、シュナイザーが報告書に目を通す間に気絶するように眠ってしまった。

ここ数日、通常の政務に加えてある重大な仕事を任せていたので、心身ともに限界がきたようだ。

(調べればこんなにボロが出てくる。今まではゴウランガ公爵の権力で隠されていただけか。)

それは二年以上前の皇太子暗殺事件に関する再調査報告書である。

暗殺者を雇って皇太子を亡き者にしたのは、シュナイザーを養子にしたベーベルシュタム卿の弟、ブロスペルだ。

シュナイザーは一切関与していないが近戚ということで、真の首謀者はシュナイザーだと今も信じている民がいる。

悔しいがどうにもできず、代わりに民の生活に心を砕き国を富ますことで信を得ようと努力してきた。

けれどもずっと心に引っかかっていた疑問があった。

ブロスペルが皇太子を暗殺しても旨味は少ないという点だ。