追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「私に力を」

そう呟いた次の瞬間、目がくらむような光がモニカからほとばしり、かと思ったらスッと縮んでロッドの形に集約された。

ロストブでの覚醒の儀では金メッキのロッドが持ち出されたが、あれはまがい物。

聖女のロッドとは、魔力が具現化されたものなのだ。

「モ、モニカ様」

隣でナターシャが目を見開いているが、今は説明してあげられない。

キッと前を見据えたモニカが右手のロッドを沖に向けるのとほぼ同時に、かろうじて掴んでいた手綱がシュナイザーの手から離れてしまった。

いや、あえて離したのだろう。

敵のさらなる一射をかわすために。

シュナイザーは真っ逆さまに夜の海に落ちていき、誰もが彼の死を予感したが――。

海水が山のように盛り上がり、シュナイザーを受け止めた。

続いて山の先端が彼を包んで球状になり、海面を滑るようにして港まで運んでくる。

たどり着いたのはモニカのいる灯台の真下で、海水の玉が弾けたらシュナイザーが岸壁に降り立った。

頬以外に負傷はないようだ。

空賊は今、ハンス率いる騎竜兵隊と戦闘の真っ最中で捕まるのも時間の問題だろう。