追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「汝の魂は昇華し我の力を授けるに値した。意のままに水を操ることを許そう。目覚めよ、モニカ」

精霊が太陽のように輝いて形を崩し、モニカの中に一気に流れ込んだ。

「ああっ!」

その魔力の膨大たるや、小柄なモニカの体が破裂しそうで悲鳴を上げた。

それが急にスッと落ち着いたので目を開けると、景色は灯台に戻っていた。

長いこと前世の記憶を覗いていた気がするが、灯台守はせっせと照明を調整し続けているし、隣ではナターシャが震えている。

夜の海ではシュナイザーが今にも仕留められそうな状況で、一秒も進んでいなかった。

空賊の槍を彼がサーベルで弾いたら、弓矢が放たれた。

身を引いてかわしたはよかったが、竜の翼に当たってしまう。

竜の叫びが港まで届き、飛び方が大きく乱れた。

振り落とされそうになったシュナイザーが、片手で手綱にぶら下がっているのが見える。

三十メートルほども上空にいるので、落ちれば海面に叩きつけられて命の保証はない。

悲鳴を上げたのは、波止場から沖を見守る群衆とナターシャだけであった。

モニカは目を閉じて胸の前で指を組み合わせ、内なる魔力に意識を集中している。