追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「あ、着替え中だから早く襖を閉めて」

「お姉ちゃん、なんで着替えてるの?」

眉の上で直線的に切られた前髪がいいところのお坊ちゃん風だが、実は保育園で毎日のように擦り傷を作ってくるやんちゃ坊主である。

浴衣の帯を締め終えた千早は携帯電話を手に取った。

友達に合流できるとメッセージを送りながら、悠清に自由時間をもらったと話したら喜ばれた。

「遊んで!」

「ごめん。後でね。お姉ちゃんは学校の友達のところに行かないといけないの」

「僕もいく」

「えっ」

弟を連れて行けば面倒を見るばかりで自分が楽しめなくなる。

けれども駄目だと言えば泣かれそうなので嘘をついた。

「さっき大貴くんがお参りに来てたよ。悠清のこと探してた。まだ境内にいるかもしれないね」

大貴は保育園で一番仲のいい男の子で、たまに祖父母と参拝にも来てくれる。

「探してくる!」

パッと破顔した悠清が駆け出ていき、その無垢な背に千早は両手を合わせた。

(ごめんね。後で遊んであげるから許して)

友達からたこ焼きの屋台前にいると返信が来て、千早は走ってその場所に向かった。

「お待たせ」