追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「モニカ様はここから動かないでいてください」

そう言い置いて、ふたりとも螺旋階段を駆け下りていく。

双眼鏡を持っていかれてしまったので、モニカは沖に目を凝らす。

日はとっぷりと沈んで辺りは夜の様相だが、灯台から伸びる光に入った時だけクルミ大の竜を確認できた。

光の帯を左から右、右から左に横切るシュナイザーに、黒竜二頭が徐々に距離を詰める。

気づいたハンス達が一斉に助けに向かうが、追いつかれたシュナイザーと空賊の間で戦闘が始まってしまった。

シュナイザーの武器はサーベルで、長柄の槍が相手では分が悪い。

さらには弓矢を構えた男がシュナイザーに狙いを定めている。

「モ、モニカ様……」

ナターシャが隣で震えていた。

モニカも今まで味わったことのない強烈な恐怖に襲われている。

(いやよ、死なないで。あなたが私の死を望んでも、私はあなたに生きてほしい。愛しているから、私があなたを助けたい!)

モニカの魂が声にならない叫びを上げた次の瞬間、モニカは目の前が真っ白になった。

水の中に浮かんでいるような感じもして驚いていると、景色が見え始める。