追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

先頭を切る竜に乗る者だけ黒い軍服姿で、他は枯草色の軍服であった。

途端に胸騒ぎを覚えて、モニカは護衛兵のマントの胸元を両手で握った。

「陛下がいたの。お願い、私を火事の見えるところへ連れて行って。いえ、これは命令よ。陛下が心配なの」

なにか嫌な予感がしていた。

掴みかかる勢いで必死に頼むモニカにふたりの護衛兵は顔を見合わせて戸惑い、ナターシャに視線で訴える。

侍女から止めてほしいのだろう。

けれどもナターシャはモニカと同じ真剣な目をして彼らに頭を下げた。

「私からもお願いします。モニカ様は野次馬根性でわがままを仰る方ではありません。なにかお考えがあってのことです」

「しかし、船を借りようにも人命救助に沖に出てしまったようで……」

「あそこはどうでしょう?」

ナターシャが指さしたのは港の端にそびえる灯台だ。

船の航行の監視場所でもある灯台なら双眼鏡があるはずで、沖に出ずにシュナイザーの姿を目で追えるだろう。

モニカは護衛兵の返事を待たずに灯台へと走り出した。

石積みの立派な灯台は七階ほどの高さがあり、真下から見上げると巨大である。