(そうだった。バーヘリダム城の大邸宅にいるんだわ。ここを私の部屋として使っていいと言われたのよね。昨日は疲れてよく見なかったけど、豪華なお部屋ね)

可愛らしい小花柄の壁紙にピンクベージュの絨毯。ベッドは天蓋つきでキャビネットが三つもある。

頭がハッキリするとたちまち気分が高揚し、ベッドから下りてキャビネットに駆け寄った。

扉を開けると上質なドレスがたくさん入っている。

バッグや帽子、アクセサリーも選び放題だ。

「これ全部、使っていいの?」

「はい。モニカ様のために用意されたお衣装でございます。お召替えをいたしましょう。今日はどれを……モニカ様?」

侍女の問いかけが耳に入っていないモニカは、ワクワクしながら隣室へ繋がるドアを開けた。

寝室から居間に出て「わぁ!」と歓声をあげる。

白と淡いピンクを基調としたロココ調で、六人掛けのソファセットや昼寝用のカウチ、茶器がディスプレイされた食器棚に本棚、机と豪華な家具がたくさんあっても広々としている。

火の入っていない暖炉の上には人形や花が飾られ、壁の風景画も趣味がいい。

「なんて素敵なお部屋なの。お姫様になった気分よ」