慌てて顔を上げれば、嬉しそうに弧を描く翡翠色の瞳が至近距離にあった。

「今後、お前以外の女とは踊らないと約束しよう」

「いいの?」

「お前を悲しませるよりマナー違反を選ぶ。踊るぞ」

「うん!」

モニカはシュナイザーに手を取られてホールの中央に進み出る。

ワルツにのって軽やかにステップを踏み「楽しいわ」と微笑めば、ほんのり頬を染めたシュナイザーが額にキスをくれた。

「まぁ、陛下と婚約者のお嬢様をご覧になって。仲がおよろしいこと」

「いやはや。見ているこちらが照れくさくなりますな」

貴族たちの冷やかしも、シュナイザーに夢中なモニカの耳には届かない。

夜が更けても音楽が途切れることはなく、恋する人と見つめ合える喜びにモニカは胸まで躍らせた。