好奇心旺盛な性格なのは子供の頃からで、修練所を度々抜け出して町に遊びにいっては叱られていた。

十八にもなれば少しは大人しくなったが、それは聖女らしく振舞えと言われて我慢していたからである。

聖女になりそこなった無価値な自分を欲しいと言い、親しげに臣下と話すシュナイザーのことをもっと知りたいと思った。

(それに、よく考えたらやっと私は自由になれたのよ。よかったじゃない)

修練所は十六で卒業できるのだが、モニカはそのまま教会の管理下に置かれ、とある貴族の屋敷で暮らしていた。

一般市民に比べると贅沢な暮らしぶりでも、ひとりでの外出は許されない軟禁状態だ。

先ほどは国外追放という物々しい言葉に恐怖したけれど、考え方を変えればやっと狭い鳥かごから出されたのだと気づき、モニカはパッと顔を輝かせた。

その笑顔を見たシュナイザーがなにかを期待して口角を上げたが――。

「皇帝陛下、バーヘリダムはどんな国ですか? ロストブにはないお店や料理があるのかしら? そうだ私、海が見たいです。着いたら港と城下を探検していいですか?」