追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「ロストブの修練所にいたのは私です。今は精霊が離れてしまいなんの力もありませんが元は火の精霊憑きでした。十二の歳に嫌気がさして国を出て、その後スプラドア家の養子に入ったのです。積極的に公表はしておりませんが隠してもおりません。私と陛下は同じ年ゆえどこかで情報が錯綜したのでしょう。もしくは報酬額を上げたい探偵が無理やり結果を公爵が望む形に捻じ曲げたのでは。ちなみに陛下の戸籍は確認されましたか?」

そう言うからにはシュナイザーの戸籍は改ざん済みなのだろう。 

「くっ」

返す言葉を失った公爵が歯噛みして睨んでも、ベルナールの笑みは崩れない。

貴族たちは公爵の早合点だったと結論付けたようで、ひそひそと非難する。

「なんとお粗末な。誤情報に踊らされるとは情けない」

「陛下を糾弾した失態をどうなさるおつもりか」

「いくら公爵といえども謝罪だけではすまないだろう」

モニカがハラハラしながら成り行きを見守る隣で、シュナイザーが片足を踏み鳴らし立ち上がった。

たちまち静まり返ったホールに、彼の低い怒りの声が響く。