追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

公爵が声を荒げたその時、ホールのドアが開けられハンスが入ってきた。

騎竜兵隊長の頑強な彼が肩で息をしているので、よほど急いで駆け付けたのだろう。

一拍遅れて、ハンスの後ろからベルナールも現れた。

どこへ行っていたのか、そういえば公爵がリクエスト曲を口にした後あたりから彼の姿がなかったように思う。

突然入ってきた軍人に貴族たちは戸惑い、ハンスがスタスタと玉座に近づいていくからまさかこの場で皇帝を捕らえるのかと心配そうな者もいた。

「なにをするの?」

モニカが小声で尋ねたら、足を組んだ偉そうな態度のシュナイザーがニヤリとした。

「黙って見てろ」

玉座の前に立ったハンスは親しげな態度は封印し、忠臣のごとく跪いて頭を下げた。

「お呼びと伺いました」

「ああ。お前に風の魔力を披露させようと思い呼んだんだ」

「余興にございますか?」

「まぁ、そんなところだ」

(え? ハンスさんはとっくに精霊が離れているのよね?)

モニカが目を瞬かせたらハンスが立ち上がり、成り行きを見守っていた貴族たちに振り向いた。