追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「待て待て。陛下の功績を考えたまえ。治安がよくなり一層豊かになったではないか。陛下の統治能力は高い」

「貧困層は多少豊かになったかもしれないが我々に恩恵はないぞ」

「また帝位争いで国が混乱するのは嫌ですわ。法に定められていないのですから血筋でなくてもいいじゃありませんこと」

「それだと欺かれた私たちが馬鹿みたいよ」

シュナイザーは壇上から鋭い視線を公爵に向けているが、モニカと重なる手は汗ばんで彼の焦りが窺えた。

公爵がゆっくりと体ごとシュナイザーに振り向いた。

その不敵な笑みには、自分の言うことを聞かないからこんな目に遭うのだという勝手な思いが透けている。

「陛下、我々をたばかったとお認めになりますか。ご進退も併せて伺いましょう」

震えるモニカの手を離し、シュナイザーが片手で顔を覆う。

追い込まれたかのような仕草にモニカの不安は最高潮に達したが、直後にシュナイザーがククと笑ったから驚いた。

控えめな笑い声であったが公爵まで届いてしまったらしく、憤慨してこめかみに青筋を立てている。

「なにがおかしいと言われるのか!」