追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

お祝いの曲ではあるが、リベルトの葬儀の際に奏でられたことから、今はレクイエムとして周知されているという。

シュナイザーの婚約発表の舞踏会で、そのような曲をなぜリクエストしたのか。

困惑が駆け巡る中、公爵は弾けずにいるピアニストに背を向け、貴族たちを見回して低く笑った。

「皆さんは陛下の素性をご存知ですかな?」

モニカとシュナイザーの息をのむ音が重なった。

「陛下は少年時代をロストブの修練所で過ごされたそうな。ベーベルシュタム家の血筋というのは偽りですぞ」

(どうしてそのことを!?)

一層のざわつきを楽しむかのように公爵はニヤリとし、真実を知った経緯を説明する。

半月ほど前、街外れの田舎道でシュナイザーが風の魔力を使う様子を農夫が畑の中から目撃した。

それが公爵の耳に入り、探偵を使ってシュナイザーの出自を暴いたという。

(攫われた私を助けてくれた時のことだ。どうしよう。私のせいでシュナイザーが帝位を失ってしまう)

ホールには様々な意見が飛び交う。

「公爵の言葉が誠なら、帝位返還を要求せねばなるまい」