追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「お近づきになれて嬉しいですわ。あなたが現れるまではわたくしが皇帝妃の第一候補でしたのよ。ご存知?」

嫉妬されているのだと思い、モニカは眉尻を下げる。

「ごめんなさい」

すると馬鹿にするようにクスクスと笑われた。

「すぐに謝るのはおやめになった方がよろしくてよ。力関係ができて不利になりますわ」

「ご注意ありがとうございます」

ダリアに苦手意識を感じ、モニカの顔が徐々に下向きになる。

それもしてはいけない態度だったようでダリアが調子づいた。

「そんなにオドオドなさって、わたくしが怖いのかしら? 無理もないわよね。平民の分際で皇帝妃になろうとしているんですもの。ロストブの姫君と呼んでいた人もいたわ。勘違いを指摘したらどうなるかしら?」

ギクリとしたモニカが顔を上げると、ダリアが羽根扇をパチンと閉じ弧を描く赤い唇を見せつけてきた。

出自に関し嘘をつかなくていいとシュナイザーから言われているものの、知られたらモニカを馬鹿にする者もいるだろう。

彼の足を引っ張るのは嫌だとモニカは焦った。

「お願いです。そのことは秘密にしてもらえませんか?」