追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

見知らぬ令嬢の手を取るシュナイザーはたしかに作ったような笑みを浮かべているが、ベルナールほど付き合いの長くはないモニカは彼の心まで読み取れない。

けれどもベルナールがそう言うならと幾らか嫉妬心を和らげることができた。

「食欲が湧かないなら飲み物を持ってこよう。ここから動かないでね」

ダンスに誘われたら『今は疲れているので』と断るよう注意も与え、ベルナールは給仕の使用人の方へと離れていった。

その隙をつくかのように声をかけられる。

「モニカ様」

女性の声なのでダンスの申し込みではない。

身構えずに振り向いたモニカだったが、直後に笑みを凍らせた。

ゴウランガ公爵令嬢、ダリアが立っていたからだ。

ひとりでモニカに近づいてきた彼女は、羽根扇で優雅に口元を隠しにっこりと微笑んでいる。

「少々、お話をよろしいでしょうか?」

最初に睨まれたこともあって警戒してしまうが、貴族社会に飛び込んだばかりのモニカにはうまく断れそうにない。

「は、はい」

困り顔で了承すると、腕が触れそうな距離で隣にダリアが並んだ。