追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

壁際の花たちを気遣ったのだが、ベルナールがモニカの手を取り踊りだしてしまう。

「俺とも踊ってよ。シュナイザーばかり役得でズルいじゃん」

「役得?」

「今日のモニカは一段と綺麗だ。親友から奪いはしないけど俺にも少しはいい思いをさせて」

(冗談、よね?)

ベルナールとも二曲を踊り、その後はさすがに疲れてホールの端によけて休憩する。

「モニカ様、なにか召し上がりませんか?」

周囲の者を気にしてベルナールが丁寧な言葉で問いかけてきた。

長テーブル上のご馳走を遠目でチラリと見たモニカは、首を横に振る。

デザートもたくさん用意されているようで心惹かれるが、今は他の令嬢とダンスに興じるシュナイザーが気になって食べるどころではない。

その気持ちは口にせずとも、モニカの視線の動きでベルナールに伝わった。

「我慢して。これも皇帝の務めだから」

モニカに耳打ちしたベルナールがクスリと笑う。

「大丈夫。ほら、渋々といった顔をしてるだろ? あいつの心はいつもモニカに向いているよ」