追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「妃を娶られて、陛下のご政務に張りが出るというものですな」

聞こえてくる声はおおむね好意的で、モニカはホッとする。

「さぁダンスだ。音楽を!」

シュナイザーが声を上げると宮廷楽団がワルツを奏でる。

初めに踊るのはホストという決まりがあるらしく、モニカの腕を自分に絡ませたシュナイザーがホールの中ほどに進んだ。

(みんなが見てる。どうしよう。やっとステップを覚えたばかりで下手くそなのに)

不安げなモニカにシュナイザーが囁く。

「間違えたって俺が合わせてやる。心配せず楽しめ」

「うん!」

モニカは踊りだす。

自然と足が動くのはシュナイザーのリードが上手だからだろう。

ヒラヒラくるくると妖精のように軽やかに舞うモニカに感嘆の声が漏れ聞こえた。

一曲目の半分が過ぎると次々と他の貴族もペアとなって踊りだし、モニカは優雅なダンスの時間を楽しむ。

(みなさん上手ね。私も違和感なく溶け込めているかしら?)

モニカが余所見をしていると、急にターンを入れられ足元がふらついた。

「キャッ」

「どこを見てる。俺から気を逸らせば危ないぞ。転ばせはしないがな」

「陛下……」