追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

(売りつけるの!?)

モニカは悲しむよりも呆れていた。

『お前だけが頼りだ』『我々の救世主』と言ってくれた国王や導師たちの見事なまでの手のひら返しにムカムカと腹が立ってくる。

「後ほど財務管理の者を遣わします。いくらでも請求してください」

淡々とした口調でモニカを買い取ったシュナイザーに対してもだ。

(私は物じゃないわよ!)

「行くぞ」

肩に担がれてモニカは短い悲鳴を上げた。

彼の硬い肩が腹に食い込むので暴れられず、文句だけ言わせてもらう。

「下ろしてください。私は一緒に行くと言っていません」

しかし聖堂の出口に向かう彼は足を止めてくれず、チッと舌打ちが聞こえたかと思ったら尻をペンと叩かれた。

「きゃっ!」

「迎えに来てやったのに、その態度はなんだよ」

「え?」

モニカは彼のマントの腰付近を逆さに見ながら目を瞬かせる。

(知り合いのような口ぶり。どこかで会ったことが……あるわけないわ)

平民として生まれロストブから出たことのないモニカが、いつ隣国の皇帝と知り合うと言うのだ。

彼のおかしな物言いに気を取られていたら、外に連れ出されてしまった。