追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

その角に身を潜め、出て行こうとしている荷車があれば積み荷の中に隠れようと思っているのだが、しばらく待っても通らなかった。

(困ったわ。時間がかかればなっちゃんが探しに来るかもしれないし、今日は諦める? ん、これは?)

モニカの足元にノートが一冊落ちていた。

拾って中を見ると、女性らしき丸文字がびっしりと綴られている。

ページの上には日付が書かれ、給仕などの仕事や交わした会話などが書かれているのでメイドの日記だとわかった。

『廊下の掃除中にあの方が声をかけてくださった。炎のようなルビーがお似合いな素敵な方。今日も一日頑張ろうと思えた』

(恋をしているのね。あの方って誰かしら?)

モニカの頭に浮かんだのはベルナールの顔。

彼は大抵、燃えるような真っ赤なルビーを襟元に留めている。

続きを読みたくなったが、いけないと自分を戒めた。

恋心を他人に覗かれたら恥ずかしいだろうし、今はそんなことをしている場合でもない。

宿舎の壁に立てかけるようにして置いておこうと思ったが、急にひらめいて後ろの白紙のページ五枚分を丁寧に破り拝借した。