追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「なっちゃんどうしたの?」

「えっ、脱走しようとなさっていたんですよね?」

二階から飛び降りようとしているのかと、どうやら誤解を与えたらしい。

モニカは苦笑して外を指さす。

「雪よ。初めて見たわ。嬉しくて触ろうと思ったの」

「そうでしたか。失礼しました」

モニカを離したナターシャは、「寒いので」と窓を閉めてしまう。

「雪なんかすぐに珍しくなくなりますよ。来月になれば積もりますし、お風邪を引いては大変ですので」

「積もるの? 楽しみね。雪だるまを作るわ」

「雪だるまとは? ああ、スノーマンのことですね。私も子供の頃は作って遊びました。城内で大人しく楽しめる過ごし方はいいと思います。私も手袋をはめてお付き合いします」

ナターシャはキャビネットを開けて厚地のモスグリーンのデイドレスを選び、今日の衣裳はこれでいいかと問う。

「ええ……」

ドレスに合わせた靴やリボン、タイツなども準備する彼女の背を見つめ、モニカは眉尻を下げた。

(今日も城門を出る許可証を貸してくれなそうね)

街に遊びに行くのにナターシャが協力してくれなくなったのは、半月ほど前からである。