追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「精霊が離れてしまった俺に聞くの? まぁ俺は、精霊に嫌われても仕方ない力の使い方をしてたけど」

三人がロストブを離れたタイミングはそれぞれ別である。

ハンスは十歳で大きな船会社の経営者に買われてバーヘリダムに来て、パーティーの余興などで見世物として力を使っているうちに精霊が離れてしまったのだ。

ベルナールはその翌年に、精霊憑きに興味があると言ったスプラドア伯爵に買われて養子となった。

しかし貴族になれたといっても、幸せとは程遠い生活が待っていた。

スプラドア伯爵には異常な性癖があり、夜な夜なベッドに誘われたベルナールは心を殺さねば耐えられないほどの屈辱を味わった。

実子にもひどく虐められ、大人になった今は伯爵家と縁を切っている。

シュナイザーはふたりとは違い、自らの意志で国を出た。

精霊憑きが許可なく出国するのは禁じられているので、国軍に追われる中で命からがらの脱走劇であった。

その後は自らバーヘリダムの貴族に身売りし、辛酸をなめてここまでのし上がった。
三人とも波乱万丈の人生である。

シュナイザーは壁に預けていた背を離し窓に近づいた。