追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「砂漠地帯に変化なし。大災厄は来年のいつ頃起きるかわからないが、新年早々だとしてもまだ二か月ほど時間はある。調査隊の報告によると教会は真の聖女探しに必死だ」

導師は『今年中に真の聖女を見つけないと投獄するぞ』と国王に脅されているらしい。

本人が自覚していないだけかもしれないと、国中の女性に手当たり次第に聖女のロッドを触らせて回っているそうだ。

水の精霊憑きは同時に何人も存在しないというのに。

「どこまで愚かなんだ」とシュナイザーが頭を振る。

「覚醒しないモニカを捨てた上に、レプリカのロッドを本物だと信じているとは」

「そういや、なんでレプリカってわかったの?」

背中が熱くなったのか、立ち上がって暖炉から離れつつハンスが聞いた。

「バンじいがそう言った」

本物の聖女のロッドは形がなく、魔力がロッドの姿となって見えるだけ。

ロッドの形を後世に伝えようとした聖職者がレプリカを作り、長い年月の伝承の中で個人の推測や希望が入り混じっていつしか本物とされてしまった。

さらにはそれを握れば覚醒するなどと言われるようにもなったのだ。