追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

もとのソファに戻ったベルナールが珍しく険しい顔でシュナイザーを見た。

「俺はお前も心配だ。なにかが起きて帝位を失えば、公爵は自分に都合のいい者を新たに皇帝に据えるだろう。外での公務を控えたら?」

「それはできない。皇帝が自ら動くことの必要性を説いたのはお前だろ」

ベルナールはいわば智将で、即位したてで政治に不慣れだった頃のシュナイザーを随分と助けてくれた。

視察は皇帝の意志を国民に伝える手段でもある。臣下任せにして報告を受けるだけではいけないとベルナールが教えてくれたのだ。

ベルナールが唸り、深刻そうに眉間の皺を深めたので、シュナイザーは安心させようと声を柔らかくした。

「俺の護衛も増やしているから心配ない。いざとなれば力を使って逃げるさ。革命前に死んでいられないからな」

「それは駄目だと言っただろ。出自がバレたら身の破滅だ」

「冗談で言ったんだよ。たとえ腕を一本失っても力は使わない」

ベルナールが笑ってくれないので、シュナイザーは諦めてハンスに問う。

「ロストブの状況はどうだ?」