追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

皇帝にのし上がるまで波乱万丈の人生を歩み、優雅で醜い貴族社会を知っているはずのシュナイザーが公爵の満面の笑みに鳥肌を立てた。

(モニカが危ない……)

そんなことがあって今度は本気でモニカに外出禁止を言い渡したのだが、モニカはあの手この手で城を抜け出し、護衛のハンスまで巻こうとするので頭を抱えたくなる。

(せっかくロストブから連れ出してやれたんだ。自由を奪いたくはない。だがこうなったからには監禁するしかないのか)

眉間の皺を深めて迷うシュナイザーを、暖炉の前であぐらをかいたハンスがなだめようとする。

「公爵の脅しから半月経ったけど、モニカは誰にも狙われていないよ」

「今のところはな」

カコンと高い音を立てて暖炉の薪が崩れ落ち、三人の会話が途切れた。

ハンスが燃え尽きた炭や灰をかき、新たな薪を追加するがなかなか火がつかない。

なにかを考えているように難しい顔をしていたベルナールが立ち上がり、ゆっくりと暖炉に歩み寄った。

彼がそろえた二本の指先を薪に向けるとたちまち燃え上がって、パチパチと小気味よくはぜる。