追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

(登城禁止の命令を早く解除すれと言うためか、それとも俺と娘の結婚をまだ諦めていないのか)

孤児院の小さな応接室で人払いをし、身構えるシュナイザーに公爵が言ったのはモニカのことだった。

『ロストブから妃をと仰いましたから姫君かと思いきや、聖女への覚醒に失敗したただの平民の娘だというじゃありませんか。驚きましたな。美しい娘のようですので、見た目に惹かれたのですかな? それとも水の精霊憑きを珍しがってのことで?』

『調べたのか』

『いえいえ小耳に挟んだだけですぞ。そう怖い顔をなされるな。弱小といえども聖地を持つロストブの姫君なら、我が娘が太刀打ちできる相手ではないと思っておりましたが――』

言葉を切った公爵は冷たい目をして口角を上げた。

続きを言わないが、平民の娘がひとり消えたところで大事にはならないと言いたげに見えた。

シュナイザーは唇を噛んで譲歩する。

『登城を許可する。公爵が望むなら議員資格も返そう』

『物分かりがよろしいようで。我が娘についてはいかがなされますかな?』

『ダリアとは結婚できない』

はっきりと拒否すれば、公爵が笑み強めて深くうなずいた。