追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

困ったように笑うハンスがふたりの顔を見た。

ベルナールは紅茶のカップを片手に暖炉前のソファに座り、シュナイザーは近くの壁に背を預け腕組みして立っている。

誰の話をしているのかと言うともちろんモニカだ。

ナターシャに城門の出入に必要な許可証を貸さないよう命じたというのに、モニカは外出を続けている。

婚礼衣装を手掛ける仕立て屋と会話しながら何食わぬ顔をして城門を通過したり、食品搬入業者の荷車に隠れたりと、なかなか大胆である。

外出では鶴亀亭で食事をし、散策中に困っている人に会ったら助けてあげ、それは今までと変わらない行動だが尾行がバレている点は違う。

一定の距離をおいてついていくハンスをちらりと見て、急に走り出したこともあったそうだ。

「モニカは意外と足が速いよ。俺は体が大きい分、狭い路地に入られると追いかけにくい。シュナイザーに色々言われたことで意地になっているみたいだ」

「言うことを聞くいい子のままにしといた方がよかったか」

シュナイザーが嘆息して言えば、ベルナールがすかさず指摘を入れる。