追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

モニカが前を向いたら、意志と覚悟が強そうな視線に射抜かれる。

宝石のように美しい翡翠色の瞳には愛情と悲哀がにじんでおり、モニカの鼓動が大きく跳ねた。

すると一拍で距離を詰められ、唇を奪われる。

目を丸くしてたちまち真っ赤になるモニカに、シュナイザーが満足げに口の端を上げた。

「隙だらけだ。俺以外の男には気をつけろよ」

(あなたが一番危険です!)

乙女心をもてあそばれた気分でモニカの中に沸々と怒りがこみ上げる。

「陛下、キスは冗談でするものじゃないと思うんです」

にっこりと笑みを作ったモニカは思い切り、彼の爪先をパンプスのヒールで踏みつけた。



黒い雨雲が空を覆い、夜をさらに濃い闇に包んでいる。

雨が音を立てて降っているので話し声が廊下に漏れる心配はない。

モニカとダンスの練習をしてから一週間ほどが経ち、深夜の皇帝執務室にはシュナイザー、ベルナール、ハンスの三人が集まっていた。

今夜は冷えるため暖炉には火が入り、片膝をついたハンスが薪を一本追加した。

「今のところは大丈夫。でも危ないな。この前はまかれそうになって焦ったよ」