追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

ダンスを再開するべくベルナールがモニカの手を取り、腰に腕を回したら、突然ドアが勢いよく開けられた。

驚いて振り向けばシュナイザーがいて、不機嫌顔でつかつかと歩み寄る。

息が弾んでいるので、どうやらここまで走ってきたようだ。

ベルナールの腕を掴み手荒くモニカから引き離した彼は、「これはなんだ」とメモ用紙を突き付けた。

『この書類の決裁は午前中まで。俺はモニカと仲良くダンスしてくるよ』

ベルナールの筆跡でそう書かれていた。

皇帝に詰め寄られてもベルナールは少しも慌てず、飛び込んできた時も驚きさえしていなかったので、どうやらこの状況を想定していたようだ。

笑いながらメモを受け取ったベルナールは、角をそろえて四つ折りにし、上着の胸ポケットにしまった。

「それで決裁は?」

「終わった。あとのダンスレッスンは俺が引き受けるからベルナールはどっかいけ」

「やきもち?」

「違う」

ベルナールがニヤニヤしていても、その手には乗らないとばかりにすまし顔をしたシュナイザーが、ポカンとしているモニカを引き寄せた。

途端にモニカの動悸が始まり、腰に回された腕を強く意識する。