追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

思い切りベルナールの足を踏んでしまいダンスが中断する。

痛そうに目をすがめつつもベルナールは笑って許してくれた。

「このくらい想定内。モニカは昔から不器用だったから」

不器用なのはその通りで、ロストブの修練所では年下の子よりパン作りが下手だった。

教会は日曜礼拝では信徒からお布施を集め、代わりに塩パンを配る。

そのパンは三体の精霊を表すために細く伸ばした生地を三つ編みにして焼き上げたるのだが、モニカが作ったものだけ不格好だった。

「え?」

なぜか子供の頃のモニカを知っているような彼に目を瞬かせる。

(ハンスさんは修練所にいたようなことを言っていたけれど、もしかしてこの人も? ううん、精霊憑きは珍しいのにそんなまさか。それに名前を聞いてもピンとこないもの)

「スプラドア宰相、続きをお願いします。もう足を踏まないように気をつけますから」

「ベルナールでいいよ」

「ベルナールさん」

「さん付けか。大人になったね」

兄のような目をする彼によしよしと頭を撫でられ、モニカはキョトンとする。