追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

スカートが優雅に広がるプリンセスラインで後ろの裾が長く、手の込んだレースが全体を覆う上品かつ豪華なドレスだ。

結婚に前向きになれないモニカでも、この衣装を着てみたい気持ちにさせられた。

ナターシャにも手伝ってもらって袖を通し、仕立て屋の娘が背中のボタンを留めてくれたのだが――。

「あら?」

娘が母親を呼んで小声でなにかを話している。

「どうしたの?」

モニカが首を捻るようにして振り向いたら、仕立て屋の母親が困ったような笑みを浮かべた。

「ボタンが上まで留まらないんです。採寸した時とサイズが少々、その……」

「私、太ったの?」

頬や腕をプニプニと触り肉付きを確かめると、いくらかふっくらしたように感じた。

(お城のお料理はボリュームがあるしデザートもお替りし放題。三食しっかり食べてさらに鶴亀亭でうどんを食べたら太って当然かも)

「もとはお痩せになっていましたから、ちょうどよくなったんですよ」

ナターシャがフォローしてくれたが、モニカが眉尻を下げているのは体形の変化にショックを受けているからではなく、仕立て屋に迷惑をかけたと申し訳なく思っているからだ。