追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

ナターシャが笑いながら拾ってくれる。

「これは私が処理しておきますね。モニカ様は先生がいらっしゃる前に予習をなさってください」

この国の法律や作法を教える女官がいつも九時半にやってくる。

午前中の二時間ほど苦手な勉強をしているモニカだが、今日はその必要はない。

「なっちゃん、今日は仕立て屋さんが来る日でしょう?」

婚礼衣装の仮縫いが終わったと連絡があり、これから訪問予定である。

モニカが嬉しそうなのは着々と進む婚礼準備に心を弾ませているからではなく、勉強しなくていいからだ。

「そうでした」

ナターシャが拾ったどんぐりを手に立ち上がったら、ちょうどドアがノックされ、メイドに案内された仕立て屋がやってきた。

中年の母親とモニカより少し年上の娘のふたりで、職業柄サイズがぴたりと合った上質な上着とブラウス、ズボン姿だ。

女性がズボンをはくのは珍しいが、作業しやすいからだという。

深々と礼をして入室した親子は、ニコニコしながら持参したドレスをマネキンに着せて披露した。

「モニカ様、いかがでしょう?」

「とても素敵ね」

モニカの口から感嘆の息が漏れる。