追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

モニカは拾ったどんぐりを握りしめながら「あいつらって誰ですか?」と問う。

ハンスは視線を合わせてくれたが、それにも答えてくれず悲しげに微笑した。

「仕事に戻るよ。モニカ、君も大変な運命を背負っているね。でもきっと大丈夫。僕はそう信じているから」

「あっ……」

待ってという間もなく、ハンスが背を向けて足早に木々の向こうに去ってしまった。

(ロストブってひどい国だったのね。でもそこに生きる民は少しも悪くない。みんな一生懸命に生きているわ。私の両親もロストブのどこかで生きている。国や教会が変わってくれたらいいのに)

モニカは三歳の時に修練所に入ったので、親の顔を覚えていない。

けれども泣いたときに母親に抱っこしてもらったことや、父親に肩車してもらい楽しかった記憶は微かに残っている。

精霊憑きの子を教会に差し出せば名誉ある称号といくらかの金子がもらえるそうで、『親孝行な娘だとお前の親は喜んでいたぞ』と導師に言われたことがあった。

それを信じてきたが、もしかして娘を取られた両親は泣いていたのではないかと疑った。