追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「モニカ。水の精霊憑きで大事にされていた君は知らないだろうけど、ロストブの教会はね、精霊憑きの子供を売っていたんだ。珍しがって欲しがる貴族や金持ちがいるからね。その金の半分は国庫に上納されていたから王家も承知のこと。国全体が腐敗している」

「えっ!」

国外追放というひどい扱いを受けたモニカだが憎むほどではなかった。

けれどもハンスの衝撃的な話に、国王や導師との思い出までが黒く塗り潰されるような嫌な気持ちにさせられた。

「ひどい……」

モニカは悲痛な顔で呟く。

「精霊が離れたら死ぬと聞かされただろ? 死んだことにされ、実は売り飛ばされていた。俺も金持ちに売られてバーヘリダムに来た」

「ハンスさんはロストブの修練所にいたんですか!? もしかして私と一緒の時期に?」

モニカが興奮気味に尋ねても、ハンスはニコリとしただけで否定も肯定もせず話を続ける。

「十三の時に魔力が消えて捨てられた。だけど自由になれてよかった。本当に大変な目に遭ったのはあいつらの方だ」

ハンスは手を伸ばし、モニカの頭を掠めそうな高さの小枝を折った。