「お客さま~、失礼しま~す」
聞き覚えのある
ニヤニヤ声。
思わず手を引っ込めずには
いられない。
桜ちゃんも
ハッとしたように顔を上げ、
椅子に座ったまま
姿勢を正している。
「店長!?」
なぜ
満面の笑みを浮かべて
私たちのテーブルの前に
立っているんですか?
「桜牙君、はじめまして。
さっき注文は聞いたけど、
面と向かって
挨拶するのは初めてね。
バイト終わりの璃奈ちゃんを
お迎えに来た時に、
目が合ったくらいだし」
「そう……ですね……」
戸惑いを隠せない桜ちゃん。
多分
人の心にズカズカ入り込む
店長の勢いに、
桜ちゃんはまだ
なじめていないみたい。



