信じられなくて。
頭の中がパニック状態で。
椅子に座ったまま、瞳だけ
左右に泳がせてしまう私。
「璃奈の両親に
伝えておいてやるよ。」
「?」
「娘はクリスマスに
好きな男と過ごしますから
安心してくださいって」
そう言って
椅子から立ち上がったから
つい、とっさに、
何も考えずに、
桜ちゃんのジャケットを
引っ張っちゃった。
「璃奈、何?」
「あの……えっとね……」
脳内がぐちゃぐちゃで
言葉が続かない。
「実はね……」
心臓が
バクンバクン飛び跳ねて
頬に垂れる横髪を
指でこすってもこすっても
心の平穏は訪れない。
深く深く息を吸い、
届けたい想いを
吐く息に混ぜ込む。



