「万が一振られちゃったら、
バイクの後ろに乗せて
ドライブに連れてってあげる。
私の背中に顔を押し当てて
思いっきり泣けばいいよ」
「店長の服……
涙でぐちゃぐちゃに
なっちゃいますよ」
「そんなの気にしないわよ。
だって私
今まで何十人もの女子を
バイクに乗せて、
私の背中で慰めてきたんだから」
「それにね」と
癒し笑顔を浮かべた店長は
「璃奈ちゃんに
甘えてもらえる存在になりたいの」
と、私の右手を
両手で包みこんでくれた。
まるで
店長の持つ凛とした勇気を
私に分け与えてくれるみたい。
あったかい。
安心する。
頑張ってみようかなって
思えてきたから不思議。



