俺の気持ちに気づけよ、バーカ!



「そっ…そんわけないですよ。
 店長、それ
 本気で言ってます?」

「当り前じゃない。
 私は自分の心をそのまま声に出す
 素直な人間なの」


知ってるでしょ?と
笑った店長に

知ってますけど……と
苦笑いを返す。


「璃奈ちゃんは目が合うと
 『わぁ、店長だぁ』って
 心の中で喜んでくれたみたいに
 ふわっと微笑むでしょ?
 私と会ったのが
 そんなに嬉しいのって、
 幸せな気分にさせられるの」

「普通に笑ってるだけですよ」

「その無垢な笑顔を、
 お客さんにも
 振りまけるんだもの。
 神様が璃奈ちゃんに与えた
 才能よね。
 店長の私も見習わなきゃって
 勉強させてもらってるわ」

「そんなそんな。
 女の子は笑顔が一番って 
 祖母がよく言ってるからで」

「この仕事は、お客さんに
 笑顔で接しなきゃいけないでしょ?
 何が何でもこの逸材を
 手放すわけにはいかないって、
 闘志がみなぎっちゃったわ」