「璃奈ちゃん、
今日はもう
あがっていいわよ」
スマホの画面にくぎづけの
店長に
「でもまだ私、バイト中ですし……」
と、言葉を濁してみたものの
「今日はベテランスタッフも多いし。
余裕で回せるわ」
店長が顔を上げ、
どや顔で
視線を絡めてきたから
「……でも」と
弱腰になってしまう。
「私ね
男の知り合いが多いのよ。
荒れてた頃に拳を交えた輩もいれば、
カフェのお客さんもいるしね。
イケメンの連絡先が
このスマホの中にぎっしり」
さらに
ドヤ笑顔を増し増し。
見た目
上品な社長秘書系の店長が、
今はヤンキーに見えて
しかたがない。
男の知り合いが多い?
いきなりの自慢話?
でも不思議。
嫌みな感じには
全く聞こえない。



