「あーん、何食べたらいいの!?」

 メニューを前に迷うこと15分。
 お昼休みがどんどん削られていく。

「美代子、早く決めなきゃ食べる時間なくなっちゃうよ?」

 同僚の和美に急かされて、私はますます焦ってしまう。

「もう、私と一緒のAセットでいいよね?」
 とうとう業を煮やした彼女に、そんな風に言われてしまう。

「悪いけどもうそれで注文しちゃうからね?」

 45分しかない休憩時間、15分も迷われたらそりゃ、仕方ないよね。

「お願いします……」

 私がうなずくのを見るなり、和美が呼び鈴を鳴らした。