恋と旧懐~兎な彼と私~

「それ,だめだから……男の家に行くのも」

「なんで?」

「何でじゃない。これ,普通の感覚だから。とりあえず黙って頷いて」

「はい…」



よく分からないけど,そんなこと滅多にないしまぁいっか。

暁くんは何を心配してるのだろう。

私なんかが襲われるわけでもあるまいし。

伊希はどうなんだろう。

ほんのたまにしかないけど,無いわけではないから。



「んー。ちょっと待って? スマホで近くの公園でも探すから」

「や,いい。ついてきて」



暁くんはそういって歩き出す。

そのペースはちゃんと私を待っていてくれて,優しいなぁと思う。

……たった今思い出していた伊希にも見習って欲しい。